ALC(自動レベル制御)

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ALC(Automatic Level Control)とは、振幅を自動調整する機能の一般的な名称であるが、ここではLCRメータで使われているALC機能に絞って解説する。LCRメータにおいてALCとは、被測定試料に加わる電圧(あるいは電流)の振幅が指定された値になるように、信号源の大きさを自動的に制御する機能である。LCRメータでは、内蔵発振器が一定の振幅 Vo を出力していても、測定試料のインピーダンス Zx と出力インピーダンス Zout によって分割されるため、実際に試料に加わる電圧振幅 Vx は、Vo よりも小さくなる。

LCRメータ計測イメージ
LCRメータで使われているALC機能

例えば、Vo を1Vrmsに設定しても、被測定試料のインピーダンス Zx が100Ωならば、試料両端の電圧 Vx は半分の0.5Vrmsとなる( Zout が100Ωの場合)。
上記のような現象を解決するため、試料に実際に加わる振幅を、試料のインピーダンスに関わらず自動的に設定された大きさに調整する機能がALCであり、一部のLCRメータに装備されている。測定条件を一定にしたいときなどに使用される。

ALCは、方式により、(1)実効値電圧を一定に制御するタイプ、(2)出力波形の瞬時電圧が正弦波(元の波形)になるように制御するタイプ、の2通りが存在する。

実効値電圧を制御
(1) 実効値電圧を制御
波形瞬時電圧を制御
(2) 波形瞬時電圧を制御

1番目の方法は、試料に加わる実効値電圧をDFT(離散フーリエ変換)で求めて振幅制御を行うので、目標電圧になるまでに数回の測定を要する。2番目の方法は、試料に加わる電圧波形そのものが元の正弦波と一致するように制御を行うので、瞬時に目標電圧が試料に印加される。大量に生産される積層セラミックコンデンサのように測定時間(タクトタイム)が重視される場合は、後者の方が有利である。

1番目の方法(実効値電圧を制御)は当社の汎用LCRメータ ZM2371/ZM2372/ZM2376で、2番目の方法(波形瞬時電圧を制御)はCメータ ZM2314 で採用されているALCの構成である。なお、ZM2371/ZM2372/ZM2376には、電圧一定(Constant Voltage,CV)の他、試料の実効値電流を一定にする定電流(Constant Current,CC)機能も装備されている。フィードバックする要素を電圧から電流に切り替えることで、定電流動作を実現している。

なお、ALCで実際に設定できる振幅値の上限は、発振器が出力できる最大振幅が試料のインピーダンスと出力インピーダンスで分割された値である。ALCオフの時に設定できる最大振幅が、ALCオン時にも常に出力できるわけではない(振幅制御できるわけではない)ことに注意が必要である。
また、周波数特性分析器に装備されている振幅圧縮機能(Amplitude Compression)も、DFT演算で求めた実効値電圧が設定された振幅になるよう、内蔵発振器の大きさを自動調整する機能である。

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