FAQ - FRA5087/5097

測定に関するFAQ

Q: ループゲイン特性がきれいに得られない場合の対処方法は?

A:対処法は以下の通りです。

  • 測定点数を増やす。測定点の間を直線で結んで表示するため、測定点数が少ないと、グラフがギザギザに見えることがあります。測定点数の設定をを500step/sweep程度まで増やしてみてください。
  • 注入電圧を増やす。サーボループへの注入電圧が小さい場合、ノイズとの分離が難しくなり測定結果が暴れて見えます。サーボループが誤動作しない(注入した電圧がひずまない)程度まで出力電圧を大きくするか、注入抵抗を大きくしてみてください。
  • 積分回数を増やす。ループゲインが大きな低周波領域、ループゲインが小さい高周波領域では、FRAが検出する信号のどちらかがノイズレベルに近づいてしまいますので、測定結果がばらつきます。この場合、積分回数を増やすことでノイズの影響を減らすことができます。

Q: ループゲイン測定アダプタとシグナルインジェクタプローブ 5055を使用したときの違いは?

A: ループゲイン測定アダプタを使って抵抗注入する場合、抵抗の接続点の電圧は±42VDCまで可能ですが、5055は±11Vに制限されます。 また、5055の重畳信号の周波数範囲は、DC~100kHzです。

Q: 入力の電圧レンジは?

A: 入力レンジはオートレンジなので、ダイナミックレンジの広い測定が可能になります。電圧レンジは、14mVpから350Vpの間で15レンジに分割されます。

Q: 周波数 1ポイントの測定時間は?

A: 「遅延時間+積分回数+演算処理時間+電圧急変時のオートレンジの整定時間」になります。遅延時間:0秒、積分回数:1回のときの測定時間は、周波数により下記のとおりとなります。

周波数 測定時間
<55Hz 1/f 秒
55Hz≦~<3kHz 約20ms~55ms(周波数による)
≧3kHz  約20ms
演算処理時間 約2ms
オートレンジの整定時間  1~3回の測定時間
 (レンジが整定するまで)

したがって、1ポイントの測定時間は、測定周波数、オートレンジの整定時間により異なります。

Q: 測定終了後、自動的に発振部の出力をOFFにできますか?

A: オートシーケンス機能により可能です。出力ON、スイープスタート、出力OFFのキー操作を記録しておけば、[AUTO SEQ]を押すと登録された手順で動作します。

Q: ループゲインの測定で、注入抵抗はなぜ必要なのですか?

A: 注入抵抗が無くても、FRAの出力インピーダンスが50Ωあるので多くの場合測定できますが、FRAへの接続ケーブルが不用意に外れてしまうと回路がオープン状態になって破損の危険がありますので、注入抵抗を挿入(容易に外れないようにハンダ付け等を推奨します。)しておけば安全です。

Q: オプションのインピーダンス測定アダプタを使って抵抗器のインピーダンスを測定すると、位相0°のはずが180°になるのはなぜ?

A: よりよい性能を得るために逆相になっております。インピーダンス測定アダプタの取扱説明書に記述されていますが、メニュー[Input]、[INVERT]を[ON]に設定することにより、正しい位相でインピーダンスを測定できます。

Q: オプションのインピーダンス測定アダプタは4端子法ですか?

A: 4端子法です。交換用ケルビンクリップはLCRメータのケルビンクリップテストリード 2325AL/AMの交換用ケルビンクリップと同じものです。

Q: SCREENキーで設定した画面にグラフを表示できないのはなぜ?

A: 測定したデータは画面1にのみ表示され、画面2~6に表示することはできません。画面2~6への表示は、マスメモリ、パーマネントメモリ、USBメモリのデータが表示できます。但し、マスメモリ、パーマネントメモリのデータは画面2~6の全ての画面に表示できますが、USBメモリのデータは任意の1画面のみの表示となります。

Q: FRA5087/FRA5097用LabVIEWドライバはFRA5095/FRA5096で使用できますか?

A: FRA5087/FRA5097以外では使用できません。

Q: FRA5087/FRA5097と旧機種FRA5095/FRA5096の相違点は?

A: 下表の通りです。

項目 FRA5097 FRA5087 FRA5096 FRA5095
測定周波数 0.1mHz~15MHz 0.1mHz~10MHz 0.1mHz~15MHz 0.1mHz~2.2MHz
インピーダンス表示 オプション オプション オプション
BASIC SETUP キー × ×
SCREEN COPY キー × ×
CONDITION キー × ×
外部記憶 USBメモリ USBメモリ フロッピーディスク フロッピーディスク
LabVIEWドライバ × ×
CEマーキング × ×
外部インタフェース USBTMC、GPIB USBTMC、GPIB GPIB GPIB
外形寸法 434(W)×
177(H)×
453(D)mm
434(W)×
177(H)×
453(D)mm
434(W)×
177(H)×
500(D)mm
434(W)×
177(H)×
500(D)mm
質量 約12kg 約12kg 約15kg 約15kg

Q: インピーダンスアナライザとの違いは?

A: 測定精度の面では一般的に劣りますが、測定条件の面では、FRAの場合は最大250Vrmsまで入力できるので、高い動作電圧が必要なDUT(例: 圧電素子)でも、実際に動作するレベルで測定を行うことができます。

Q: スイッチング電源のループゲインと出力インピーダンスの関係は?

A: 出力インピーダンスZout≒Zopen/Aβ(Zopen: オープンループの出力インピーダンス、Aβ: ループゲイン)になりますので、ループゲインが大きいほど出力インピーダンスが低くなります。

Q: オプションのインピーダンス測定アダプタを使用して、高周波までどの程度の精度でインピーダンスを測定できますか?

A: シャント抵抗設定1Ω、10Ωで試料のインピーダンスが1Ω~10kΩの時、測定確度は200kHz以下で±5%です。シャント抵抗設定100Ωで試料のインピーダンスが100Ω~100kΩの時、測定確度は20kHz以下で±5%です。200kHz以上での測定確度は保証していません。

Q: ループゲイン測定において、利得余裕は入出力間の位相差が180°となるときに定義されるのでは?

A: FRAで測定する場合は、ループの一巡特性を測定していますので、入出力間位相差が0°のときに位相余裕を定義します。一般的な負帰還回路の原理は下図のようになっており、加算部の入力側が+、フィードバック側が-になっています。その場合は、入出力間の位相差が180°のときに位相余裕を定義します。

負帰還回路の原理図
負帰還回路の原理図

Q: 周波数軸低速高密度スイープとは何ですか?

A: 圧電素子や水晶振動子の共振特性など、測定データが大幅に変化するときは、その急変データだけを自動的に細かく測定できる機能です。共振特性を測定するときに周波数点数を減らしても、データが急変する共振周波数付近は周波数点数を増やして測定したときと同程度の密度で測定でき、測定時間を大幅に短縮することができます。具体的な操作手順は、FRA5087取扱説明書(4-26ページ)、FRA5097取扱説明書(4-27ページ)をご覧ください。

FRA5087取扱説明書


FRA5097取扱説明書

Q: 発振部の出力電圧を変更しても出力電圧が変化しないのはなぜですか?

A: [AC/DC ON]ランプが点灯していても、[AC/DC ON]キーを押さないと出力電圧は変化しないためです。

Q: 手動スイープの途中で積分回数を変更しても動作に反映されないのはなぜですか?

A: 手動スイープで1周波数の測定が終了した状態というのはFRAの内部ではスイープ途中の状態なので、積分回数の設定を変えても動作に反映されません。[AC/DC ON]キーを押すと測定が終了し、次回測定時から変更した積分回数が反映されます。

Q: キーを押すたびに鳴るブザー音をOFFにできませんか?

A: OFFにする機能はありません。メッセージを表示時のブザー音、入力信号のオーバロード時のブザー音はON/OFFできます。

Q: COHERENCE MODEとは何ですか?

A: S/Nの悪い測定データを、一定の信頼度になるまで積分回数を増やして測定する機能がCOHERENCE MODEです。測定データのコヒーレンス推定値(分散推定値)は“SHORT”(0.9)、または“LONG”(0.99)に設定できます。コヒーレンス推定値は1.0に近いほど測定データの信頼度が高くなります。本機能はコヒーレンス推定値を測定するものではありません。手動積分では使用できません。

Q: キャリブレーション、イコライズを実行すれば測定確度を保証できますか?

A: キャリブレーションは、FRA本体内で完結しているのでメーカで確度を保証できますが、イコライズはお客様が外部に接続する測定対象によるので、確度を保証できません。イコライズの目的は、外部に接続されるケーブル等の特性を補正するものです。10MHz程度になると、測定ケーブルを捻るだけのストレスで特性が変化しますので、イコライズ実行時の補正値が測定時にそのまま使用できる保証はありません。

グラフ表示に関するFAQ

Q: グラフ表示で、最大値、最小値を自動的にサーチすることはできますか?

A: 最大最小値サーチ機能により可能です。圧電素子などの共振周波数のサーチに便利です。具体的な操作手順は、FRA5097取扱説明書(4-46ページ)、FRA5087取扱説明書(5-13ページ)をご参照ください。

Q: ボード線図で、位相表示が不連続になるのは?

A: FRAの位相表示は、[±180°]、[0~360°]、[-360~0°]の3レンジです。表示範囲を超えると、表示が折り返して見えます。グラフが見にくい場合は、位相の表示範囲を変更してください。

Q: インピーダンス表示機能は何ができますか?

A: インピーダンス表示機能を用いると、インピーダンス、レジスタンス、リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス、サセプタンスをグラフ表示できます。さらに、オープン補正・ショート補正も可能です。

Q: グラフの重ね書き表示はできますか?

A: 本体の画面では重ね書き表示はできませんが、当社のWebサイトで公開している「FRAデータ表示ソフトウエア Ver1.10」を使用すると、PC上で表示可能です。「FRAデータ表示ソフトウエア Ver1.10」はこちらからダウンロードしてお使いください。

ソフトウエアに関するFAQ

Q: USBメモリに保存した測定データを、パソコン上でExcelデータとして取り込むことができますか?

A: はい、可能です。FRAのデータ形式はバイナリフォーマット なので、直接Excelに読み込むことはできませんが、FRAデータ表示ソフトウエア (左記よりダウンロード可能) により、パソコン上でグラフ表示し、CSV形式で保存することができます。

Q: FRA5087/FRA5097のGPIBコマンドは、従来モデル FRA5095/FRA5096と互換性がありますか?

A: 機種名コード以外は同等なので、同じコマンドでご使用いただけます。

Q: ファイル読出しソフトウエアを使用してパソコンでグラフ表示を行う場合、ボード線図の[dB]表示にしかなりません。測定時の本体と同じ表示にはなりませんか?また、インピーダンス測定の場合、インピーダンス[Ω]表示になりますか?

A: ファイル読出しソフトウエアでは、ご指摘のとおり、測定時の本体の表示にかかわらず、ボード線図の[dB]表示になります。インピーダンス測定の場合も同様で、[Ω]表示にはなりません。パソコンでグラフ表示した時に、FRA本体と同じ表示になるようにバージョンアップした最新のソフトウエア「FRAデータ表示ソフトウエア Ver.1.10」を当サイトにて公開しています。新機能として、データの重ね書きも可能となりました。

Q: ファイル読み出しソフトウエアとデータ表示ソフトウエアの違いは?

A: 下表の通りです。

項目 ファイル読み出しソフトウエア データ表示ソフトウエア
測定データの取得 フロッピーディスク / USBメモリ USB、GPIB、フロッピーディスク / USBメモリ
グラフ表示 ボード線図
(縦軸:ゲイン[dB]、位相:±180°)
全グラフ
演算(分析)項目 CH1/CH2、CH2/CH1 CH1/CH2、CH2/CH1、CH1、CH2
グラフの重ね書き表示 ×
FRAのリモートコントロール ×

Q: LabVIEWドライバが製品に添付されていませんが、用意されていますか?

A: 「ソフトウエア・ダウンロード」からダウンロード可能です。

Q: データ表示ソフトウエアVer1.10のバージョンアップの内容は何ですか?

A: 従来製品FRA5095でも使用できるようになりました。

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