直流電流100Aを重畳したインダクタの測定
車載用のパワーインダクタやインバータ用の平滑インダクタは、実際の回路では、直流電流が重畳された状態で使用されます。インダクタンスは交流信号で測定します。しかし、インダクタに直流電流を重畳すると、磁気飽和により透磁率が低下し、インダクタンス値が低下します。直流電流が流れる電気回路でインダクタンスを使用する場合は、この低下分を含めてインダクタンスを測定する必要があります。
LCRメータと直流電流重畳ユニットを組み合わせ
パワーインダクタの測定
問題点
車載用や大型インバータ向けのパワーインダクタには、数十Aから数百A程度の直流電流が流れます。一般にLCRメータでは大きな直流電流を流して測定することはできません。
解決策
LCRメータと直流電流重畳ユニットを組み合わせることで、最大100Aまでの電流を重畳した状態でインダクタンス測定が可能です。これにより実際の使用条件に近い状態で測定できます。
測定ブロック図
- 組み合わせ機器
LCRメータへの直流電流の流入を防止するDC電圧アダプタを用意します。
テストフィクスチャは、試料に直流電流を供給可能なものが必要です。 - 周波数特性測定
LCRメータは1回の測定で周波数1点のみ測定です。エヌエフのLCRメータ付属アプリケーションソフトと市販の表計算ソフトを使用することで、インダクタンス-周波数特性を測定し、PC上に表示することができます。
測定データ
33μHのインダクタの測定例
構成機器
- 対応可能なLCRメータ
ZM2371/ZM2372 (≦100kHz)、ZM2376 - DC電圧バイアスアダプタ
ZM2328 (ZM2371/ZM2372専用)、ZM2329 (ZM2376専用) - 直流電流重畳ユニット(カスタム製品)
LCRメータに外部直流電流バイアス機能を付加するユニットです。
LCRメータに、このユニットを装着することで、外部の直流電流源から、最大100Aの電流を試料に加えた状態で、インピーダンスを測定できます。
- 最大直流電流バイアス 100A
- 測定周波数の有効範囲、測定インダクタンス範囲、追加誤差範囲は、直流電流重畳ユニットの構成によりカスタマイズ可能です。
追加誤差(参考値)